亀電が2013年に導入した通勤電車です。400形の置き換えを目的として製造されました。片開きドアと両開きドアが混在する独特なドア配置を有しています。新潟トランシスで2013年から2015年にかけて3編成が製造され、現在も3編成が在籍しています。
900形に引き続き、この二代目100形も機器類を含めて自社発注の新製車ですが、観光を重視した900形とは異なり、通勤通学主体である千代川線での使用も想定し、観光を意識しながらも輸送力を重視したデザインとなりました。
この電車を発注する際、亀電が今まで車両を発注していた武庫川車両が2002年に廃業したことから、新たの発注先の選定が必要となりました。そこで、主要な鉄道車両メーカー各社に見積もりを依頼し、予算にもっとも見合う結果を回答した新潟トランシスが発注先として選定されました。
この電車は、製造費用の半額が国や亀岡市からの補助金で賄われています。
1960年に登場した400形は、亀電の新性能電車の先駆けであり、亀電の独特な車体規格を作り上げた立役者であることから、名車として社内からもファンからも親しまれてきました。しかしながら、登場から50年が経過すると、車体の老朽化が進行し装備品の陳腐化も無視できなくなっていました。そこで、その400形置き換えのために登場したのがこの二代目100形です。
車体は普通鋼製溶接構造となっています。前面部は流線形となっています。
ドアは前後2ドアで、前ドアが幅1,100mmの片開き、後ドアが幅1,300mmの両開きとなっています。これは、駅停車時間の短縮と、客室空間の確保を両立させるための設計です。亀電ではラッシュ時間帯における数分の遅延がかなりの確率で発生していました。調査の結果、これは無人駅にて一つしかない乗車口に乗客が殺到し、停車時間が大幅に増加することが主な要因だと判明したのです。しかし、乗車口を増やすとそれを監視する乗務員の負担が増えて良くありません。かといって駅を有人化すれば人件費がそれだけ増えてしまいます。そこで採用されたのがこのドア配置です。両開きドアは片開きドアに比べてドア幅を広く取ることができます。これによって片開きドアよりも乗車時間の短縮に繋がります。一方で前ドアは無人駅で出口となるため、ドア幅はそれほど必要ありません。また車内精算を行うことから、できるだけ乗務員室に近い方が適当です。そのため、戸袋が片側にしかない片開きドアとすることで、ドアを客室の端に寄せています。
前照灯は前面上部にLEDを二灯、下部に二灯の計四灯とし、さらにハロゲンフォグランプが下部前照灯の横に取り付けられています。尾灯は、LED製のものが台枠下部に取り付けられており、橙色に点灯させて補助灯としても利用できます。濃霧時にはこれらすべてを点灯させ、灯火類が計8灯点灯する大仰な姿となって走行します。車体の四隅にはLED製の車幅灯が取り付けられています。
塗装は600形から続くクリーム地にラインが二本入る亀電一般色となっていますが、700形と800形ではピンク色となっていた部分が亀電のコーポレートカラーである紅に変更されています。
座席はセミクロスシートとなっていますが、ロングシート主体となっており、クロスシートは1両辺り12席のみとなっています。900形のように高級さを追及するといったことはなく、化粧板はクリーム色、モケットは緑色となっており、これまでの亀電の車両達の伝統を引き継ぐ形になっています。
機器類は基本的に900形で採用されたものの改良型が採用されています。
全車電動車となっています。主制御装置は東洋電機製の2レベルIGBT-VVVFインバータ制御装置が採用されており、方式は2M1C4群となっています。制御装置は奇数号車(湯之花温泉寄り)に搭載されています。故障時に1群ずつ切り離しが可能で、2群のみでの亀電最大勾配40‰での起動が可能な設計になっています。主制御装置には定速制御機能が備えられており、任意の速度にて、マスコンを定速位置で保持することで作用します。
主電動機は東洋電機製の出力60kWの三相かご形誘導電動機が採用されています。歯車比は85:14=6.07で、駆動方式はTD平行カルダン駆動が採用されました。起動加速度は3.0km/h/sに設定されています。
制動方式は電気指令式空気ブレーキHRD-1で、発電ブレーキが付加されています。
台車は新潟トランシス製のインダイレクトマウント式台車が採用されました。構造は900形で採用された住友金属製の台車と互換性が確保されています。ただし、省令に適合させるため、ブレーキはユニットブレーキ化されました。
制御装置 | 2レベルIGBT-VVVFインバータ制御装置 2M1C4群 製造:東洋電機 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 60kW×8基(編成総数) 製造:東洋電機 |
駆動装置 | TD平行カルダン 製造:東洋電機 |
台車 | 車体支持方式:インダイレクトマウント式 枕ばね:ダイヤフラム形空気ばね 軸箱支持方式:緩衝ゴム式 製造:新潟トランシス |
制動方式 | HRD-1 電気指令式空気ブレーキ 製造:ナブテスコ 発電制動併用 |
歯車比 | 6.07 |
起動加速度 | 3.0km/h/s |
設計最高速度 | 90km/h |
構体 | 普通鋼 |
全長 | 15,000mm |
全幅 | 2,600mm |
全高 | 3,980mm |
車体長 | 14,450mm |
自重 | 奇数車・偶数車とも:24.5t |
定員 | 90人(座席34人) |
在籍両数 | 6 |
製造両数 | 6 |
登場年 | 2013年 |
製造 | 新潟トランシス |