400形の導入によって亀電は大幅なイメージアップを果たした。しかしながらマイカーの普及はどんどん進み、亀岡市民の間でも『電車よりも車のほうが便利だ』とする気運がどんどん高まって行く状況に当時の経営陣は危機を感じていた。このようなモータリゼーションが迫る状況に対抗するためにはさらなるサービス向上が必要と言えた。
特に、戦前製の100形及び200形は最新の400形に比べてその車体や内装が明らかに見劣りし、サービス向上・イメージアップのためにはその置き換えは必須と言えた。
しかし、100形・200形全10両すべてを新製車で置き換えるだけの力が当時の亀電に有るはずもなかった。
そこで100形・200形の車体だけを400形と同等の物に更新することになった。その結果誕生したのが500形である。
この電車の登場により、亀電は1960年代にして早くも見た目だけは最新の電車が在籍車両の半数以上を占めることになる。
しかし、旧型電車由来の乗り心地や吊り掛け駆動の騒音という欠陥は残り、また加減速性能や応答性も400形よりは劣った。
その後、亀電の経済状況が良くなると、この500形は600形・700形に車体を譲る形で廃車となった。
車体は武庫川車両製。
基本的な寸法は400形を踏襲しているが、メーカーが変わったため、寸法は同じでも異なる構造となっている部分が多くみられる。前面形状についてはその見た目も大きく異なっており、曲線的で一灯式ライトの400形に対し、500形は若干角ばった形状で埋め込み2灯式ライトである。
搭載する機器の重量が大きい事から、車両は軽量化が必要であり、床部構造の簡略化など軽量化が図られている。しかし、梁の省略については将来の改造を見越しそれに耐えうるように最小限に抑えられている。その結果、600形・700形への改造が可能になったと言える。
前述の通り400形が搭載する機器は、そのほとんどが100形・200形からの流用であり、性能は戦前製電車そのものである。
制御装置 | 抵抗制御 |
主電動機 | 直流直巻電動機 48.5kW×4 |
駆動装置 | 吊り掛け駆動 |
台車 | 日車D形 車体支持方式:スイングハンガー式 枕ばね:板ばね式 軸箱支持方式:イコライザー式 製造:日本車輛製造 |
制動方式 | 発電制動併用非常弁付直通空気ブレーキ |
構体 | 普通鋼 |
全長 | 15m |
製造両数 | 10 |
登場年 | 1968年 |
製造 | 武庫川車両 |