車両紹介-700形

概要

 亀電が1988年に導入した通勤電車です。旧性能電車から機器を流用した500形の車体部分を流用し、亀電新家工場にて1988年から1990年にかけて3編成が製造されました。現在も3編成が在籍しています。なお、車籍上は600形と同じく新製車扱いとなっています。

登場の経緯

 1986年、500形の車体を流用する形で600形の製造が始まりましが、この電車は500形の構造を受け継ぎ、両運転台構造の単行電車となっていました。しかしながら、当時の亀電はバブル景気と温泉ブームによって乗客数が急増し、大規模な増発が実施され、新車導入の検討まで始まるような状況となっていました。このような状況下で、単行である600形の製造を続けるのは得策ではないとして、600形604号が落成した時点で、それ以降500形の車体は輸送力の大きい固定2両編成の電車に活用することに計画が変更されました。これが700形です。

外観

 車体は普通鋼製溶接構造で、500形から流用されています。流用にあたって各部の改造が実施されています。改造の具体的な内容としては以下の通りです。

 なお、前面貫通扉の幌座については、将来的に600形と連結して3両で運転を行う計画があったために残置されましたが、結局計画は立ち消えとなり、700形化後に幌座が使われることはありませんでした。
 705-706編成については、2014年の全般検査の際に前面部の幌座および渡り板が撤去され、補強として幌座と同じ範囲に鉄板を溶接する改造が施されました。
 尾灯は、当初白熱灯を採用していましたが、1996年から1998年にかけての全般検査に合わせて、全編成がLED製のものへと改造されました。この尾灯は、橙色に点灯させて補助灯としても利用できます。
 塗装は600形のものをベースにし、ラインカラーがピンクとオレンジに変更されています。

機器

 機器については500形からほぼ全てが取り換えられており、100形・200形由来の物は残っていないとされています。全電動車で、方式は8M1Cとなっています。主制御装置は抵抗制御・直並列制御・弱界磁制御を行う電動カム軸式のものが採用されており、奇数車(湯之花温泉寄)に搭載されています。この制御装置は定速制御が可能となっており、ノッチにて任意の速度を指示することで作用します。
 同世代の600形と異なり、8M1Cのユニット方式となっているのは、保有する制御装置の総数を減らす目的があったとされています。
 主電動機は東洋電機製の出力53kWの直流複巻電動機が採用されています。歯車比は84:17=4.94で、駆動方式はTD平行カルダン駆動が採用されました。起動加速度は2.7km/h/sに設定されています。
 制動方式は電気指令式空気ブレーキHRD-1で、発電ブレーキが付加されています。
 台車は、600形と同じ住友金属工業製のインダイレクトマウント式のものが採用されました。この台車は枕ばねに空気ばねを用いているため、従来の亀電の車両に比べて乗り心地に優れます。軸箱支持方式は積層ゴム式です。積層ゴム式では車軸は上下動以外にも前後・左右方向にもある程度可動し、レールへの追従性が他の構造に比べ非常に高くなっています。さらに軸距が短いため、曲線通過性能に優れています。また直径760mmの小径車輪を採用し、加速性能にも優れています。一方で高速性能には劣りますが、最高速度70km/hの亀電では高速性能は不要です。
 600形に引き続き冷房を装備しています。
 サービス電源にはSIVが採用されており、2両分の消費電力に対応したものを、偶数車床下に搭載しています。
 登場の経緯ゆえ、採用されてる機器類は600形と共通の部分が多くなっていますが、システム全体で見ると、2両で1ユニットとなるよう機器が分散された、600形とはまた異なる電車となっています。


仕様・性能

制御装置電動カム軸式
抵抗制御・直並列制御・弱界磁制御 8M1C
製造:東洋電機
主電動機直流直巻電動機
53kW×8基(編成総数)
製造:東洋電機
駆動装置TD平行カルダン
製造:東洋電機
台車車体支持方式:インダイレクトマウント式
枕ばね:ダイヤフラム形空気ばね
軸箱支持方式:緩衝ゴム式
製造:住友金属工業
制動方式HRD-1
電気指令式空気ブレーキ
製造:日本エヤーブレーキ
発電制動併用
歯車比4.94
起動加速度2.7km/h/s
設計最高速度90km/h
構体普通鋼
全長15,000mm
全幅2,600mm
全高3,980mm
車体長14,450mm
自重奇数車・偶数車とも:23.0t
定員100人(座席38人)
在籍両数6
製造両数6
登場年1988年
製造亀岡電鉄


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